向こうからの誘いってことは、うちに入社する気が少なからずあるってことだよな?……いや、俺をからかって遊んでるだけかもしれない。


──まじで何考えてんだよ五十嵐の野郎。何がしたいんだかわっかんねぇ。


あたりようのないイラつきとやるせなさに頭をかきむしる。


「…親父、ヘッドハンティングなんて二度とごめんだ。くだらねぇ接待も俺はこの先一生やらねぇ」


呟くように言うと、親父は手を止めた。


「接待も大事な仕事の一つだ。くだらないなどと言うべきではない」

「知らねぇよ。くだらないとしか思えねぇ。相手の機嫌とって気分良くさせて仕事を取るなんて、俺にとっちゃ愚の骨頂だ」

「……経済社会を微塵も知らぬお前が、なにを戯けたことを」

「んなこと知りたくもねぇよ。一日中パソコンの前にいた方がまだマシだ」


体に力が入らず、机に倒れ込む。


目を閉じるとすぐに浮かぶ俺の愛しい嫁は、どうしたら心から笑ってくれるのだろうか。


……ああ、今すぐにでも君に触れたい。