でも改まって俺から言うのもおかしいよな。向こうから聞いてくればいいものを、どうせ変に考えて変に妄想して妬いてんだろ。


やっぱり事前に言っておくべきだったか。結局こうなるんじゃ元も子もない。

隠すなら完璧に隠し通さなけりゃならないってのに、俺の甘さだ。

疚しいことなんてしていないから、ばれても問題ないと心のどこかで思っていたんだろう。それでこの結果だ。


中途半端な自分にイラつく。どうしようもなく。


五十嵐がどう決断するか知らねぇが、これ以上の接待なんかしてやるか。とにかく面倒だ。

それよりも華乃の機嫌をとる為には、どうしたら良いものか……


「──」


携帯に着信が入り手に取ると、相手は今まさに考えていた悩みの種、五十嵐だった。


もう決めたのか?ま、早い方が俺も気が楽になるからちょうどいいわ。


またこぼれそうになるため息を押し込んで電話に出る。


「はい、神田です」