エレベーターに乗ると、龍成は携帯を取り出し電話を掛け出した。わたしを無視したまま。

ただイライラしてる。


……なんなのよ。意味わかんない。何を考えているの?何をしようとしているの?


突然だったから鞄も持ってきてないよ。一体どうする……


「今どこだ?」


──うわ、声が低い。怖いって。誰に電話してるんだろ。


「これから行くからそのまま待ってろよ」


それだけ言うと、龍成は電話を切り携帯をしまう。

そこでちょうどエレベーターが到着。


タクシーを拾い乗り込むと、行き先を

「花京院一丁目の神田まで」

と告げた。


………え?龍成の実家?なんで?