「……痴漢って?」

「……ひかりが道ばたで吐いたから、コンビニにティッシュとか買いに行ったら路地裏で後ろからいきなり……」


やばい、言いながら涙が滲んできた。馬鹿だわたし……。


「いきなりなんだよ」

「……乳を鷲掴みにされた」


言いたくなんてなかったのに、あまりにも強い視線でわたしを見据える龍成を前に、口を閉ざすことはできなかった。


「──っ!」


わたしの言葉を聞いた途端、龍成はもの凄い剣幕で立ち上がり、わたしの手を取った。


「わっ!なに?!」


強く引かれ、バランスを崩しそうになる。


驚くわたしを完全に無視して、何も言わず手を引いたまま足早に部屋を出る龍成。


ついていくのにいっぱいで、靴を履くのも本当にギリギリだった。


「ちょっと!どこに行くの?!」