…それでも気分がすっきりしないのは、完全に嫉妬だろう。

仕事上でも龍成がキャバクラに行くこと、わたし以外の女の子とわたしがいない場で飲むことが、どうしても快く思えない。


子供だな、わたしって。


「……名刺を持ち帰る必要はあるんですか」

「名刺は帰る前に捨てるのを忘れてただけだ。もうねぇよ」

「じゃあ指輪は?」


今まで冷静に対応していたのに、この問いかけにだけ、龍成は言葉を詰まらせた。


「……別に意味はない」


わたしから視線を外し、龍成は表情を曇らせる。


まるで馬鹿にされている気分だ。こんなんで納得するかっての。


「なにそれ。意味があるって言ってるようなもんじゃないの」

「ないって言ってんだろ!」

「信用できるか!意味がなくて外すなんておかしいでしょ!」

「知らねぇよ!五十嵐に聞け!」

「誰だよ!!」

「──っ……」


また、龍成は言葉をなくす。眉間のしわから苛立っているのが伝わってくる。