「普通に考えたら部屋の前まで送って『じゃ、おやすみ』、とはならねぇだろ。いい歳した男と女が、それもこんな時間に。内川新くん、華乃ちゃんの好きそうなタイプだしな」


……なにそれ。新くんが言ったこと、疑ってるの?わたしと新くんが不倫してるとでも言いたいの?


頬杖をついて皮肉まじりに言う龍成。まるでわたしを挑発しているみたいな表情。


……ムカつく。もう、いい加減にして。


「よくそんな風に人のこと言えるよね。自分は何なの?どうせ今日だって、会社の飲みとか言っといてキャバクラにでも行ったんじゃないの?」


我ながら恐ろしく可愛げのない言葉たち。

でも止められなかった。


すると龍成はわたしの顔を見て少し驚いたような顔をしたあと、ふっとため息をついた。


「……最近俺に触るなだのなんだの言ってたのは、やっぱりそのことが原因か」

「──っ、」


や、やっぱりって、気づいてたんじゃないの。それなのに自分から言わないなんて……。


「何を勝手に想像してんだか知らねぇけど、キャバクラなんてただの接待の場。仕事で行っただけだっつーの」