「でもわたしの夢と新くんの夢は格が違うって言うか、別世界だよ」

「んなことないって。俺だって、夢というよりは単なる目標的なもんだし」

「いやいやいやいや」


と話しているうちに、エレベーターが到着。

新くんのお陰で、それほど恐怖を感じることなく部屋の前に着くことができた。


「ここ?」

「うん。この階、この部屋しかないんだ」

「そっか。それじゃ、またな」

「うん。本当に本当にありがとう。ひかりをよろしく…」

「華乃」

「…え……」


──わたしを呼ぶ、この声は。


「なにしてんだよ」

「龍成……」


わたしと新くんが乗ってきた隣のエレベーターから降りてきたのは、会いたくてたまらなかった、わたしの愛しい旦那様。


……のはずだったのに。


龍成の表情は険しく、取り巻く空気は決して穏やかなものではなかった。