「…新くん……」


──なんて、なんていい人なんだろう。


「すいません、送ったらすぐ戻ってくるんで待っててください」

「はい、大丈夫ですよ」


運転手さんに声をかけ、新くんが車を降りる。

ここはもう新くんの優しさに甘えてしまおうと、わたしも車を降りた。


「ごめんね新くん。お願いします」

「いいって。今度会った時がっつり奢ってもらうから」

「それはもちろん!今日のお礼に何でもご馳走するよ!」

「期待してるわ。つーか、どんだけすげぇマンションなんだよ!お城みてぇだな!」

「そ、そう?」


エントランスに入り、カードキーをスキャンさせ中に入る。


「旦那さん、どんな仕事してんの?」

「え?っと……社長補佐?」


になるのかな?確かそんな感じだったはず。


「しゃ、社長補佐?!すげぇな!」


驚いている新くんを尻目にエレベーターに乗る。新くんもわたしに続く。