「ひかり…」


と声をかけた時には遅く、ひかりは寝息をたてて爆睡していた。


う、嘘でしょ。


「ちょっと!ひかり!起きて!!」


揺すっても声を上げても、起きる気配など全くない。


「着きましたよ」


──え゛!!


外を見るとタクシーはしっかりとマンションの前に停まっていた。


「宮間、寝ちゃったのか?」

「うん……。どうしよう……」

「いいよ、俺が部屋まで送るよ。宮間もちゃんと送るから、住所教えてくれる?」

「え……そこまで迷惑かけれないよ」


二人揃って新くんに迷惑かけすぎだって。申し訳なくて心苦しい。


すると新くんはおもむろにポケットからお財布を出した。


「俺が何かしそうで不安なら、俺の免許証でも保険証でも預けるよ。さすがに携帯はきついけどな」