「……」

「旦那さんに連絡ついた?」

「……ううん。忙しいみたい」

「そっか」


一向にコール音が鳴り止まない電話を切り、携帯を鞄にしまう。


──あの後、すぐにひかりと新くんに付き添ってもらい、交番へ行き被害報告をした。

犯人が捕まるわけはないだろうけど、このままただ引き下がるなんて絶対嫌。


ひかりは具合いが悪いのに、わたしのことが心配だからと帰らず付き合ってくれた。


友達にまで気をつかわせて申し訳ないな。でも一人でなんていられない。


それなのに、こんな時に一番そばにいてほしい人は、電話にさえでてくれない。


……仕事だよね?だからでれなかったんだよね?……本当に、仕事なんだよね?


「大丈夫?」

「あ、うん。だいぶ落ち着いたから大丈夫。ていうかなんでそんな離れてんの」


なぜかわたしと新くんと、一メートル以上距離をとっているひかり。