業を煮やしたのか、龍成はわたしを強引に引きずり建物の裏へ。

外壁と龍成に挟まれ、わたしは逃げ場をなくされた。


「どういう了見だこら」

「もう無理」

「なにが」

「結婚」

「は?」

「だから、結婚!」

「意味わかんねぇよ。結婚しないってこと?」

「うん」

「はあ?!この間結納も済ませたじゃねぇか!これから結婚式の打ち合わせだってのに!」

「それはそうだけど、結納の時だってきつかったの。龍成のお父さんもお母さんもわたしを見る目が怖いし」


顔は表面上笑ってたけど、目が笑ってなかった。絶対わたしのことを納得してないよ。


「元からああいう目つきなんだよ」

「いつかは同居しなきゃいけないでしょ」

「しなくていいっての」

「龍成のお母さんみたく社長夫人で社長補佐なんてできないし」

「んなことしなくていいって言っただろ。お前は好きなようにしてたらいいんだよ」