龍成の手が離れたのをいいことに、わたしは距離をあけた。


「もう眠いから嫌なの」

「は?そんなんいつもじゃねぇか。俺専用の抱き枕が、何言ってやがる」

「とにかく今日はやめて。寝るから。おやすみ」

「……わけわかんねぇ。……おやすみ」


わたしも龍成も、お互いに背を向けて眠りにつこうとする。


──触られたくないの。他の子と、わたしの知らない子といた龍成の真実を知るまでは。

なにもないと思いたいよ。けれど、もし、万が一にも、その手でわたし以外の女の子に触れていたとしたら。


考えるだけで胸がえぐられる。息がしにくくなる。


だからお願い。

普段のように、気づいてほしい。いつも言わなくても、龍成はわたしのことを充分すぎるほどわかっているから。


そして話してほしい。


それが例え嘘でも、全て信じるから。


わがままな女でごめん。