ただの息抜きとかストレス解消の為なら、送り出すとまではいかないけど、文句は言わないのに。


……なんて、一人で考えていても始まらない。本当のことは聞かなきゃわからない。

なのに聞ける気がしないの。馬鹿なことを口にして喧嘩になりたくない。


それ以前に、わたしの妄想を超える現実が待っていたとしたら、受け止められる自信がない。


──怖い。


卑怯なわたしは、龍成から言ってくれることを待とうとしている。


ここまで勝手に知っておきながら、知らないふりをしようとしている。


ずるい女……。自分でも重々承知だけれど、龍成から真実を打ち明けてくれたら、まだ耐えられる気がするの。


どうか話してくれますように。

どうか深い意味はありませんように。


そう願い、名刺をポケットに戻した。