…このまま華乃をタクシーで迎えに行くか。

──や、さすがに迎えに行って酒臭いのは、みんないい気がしねぇよな。


黙って帰るしかねぇな。


アキちゃんの番号を携帯に打ち込んだふりをし、見送られながら店を出た。


店の前に停まっていたタクシーを掴まえ、五十嵐を乗せる。


「今日はありがとうございました。ぜひご検討ください。またご連絡させていただきます」

「こちらこそ。神田さんを知れて楽しかったっすよ。上辺だけだろうけど。次も楽しみにしてます。お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」


ドアが閉まり、タクシーが発車する。俺もタクシーを拾い帰路につく。


肩に手をあて首をぐるっと回し、大きく息を吐いた。


次だ?勘弁してくれよ。二度とごめんだ。五十嵐の相手もキャバ嬢の相手も、俺には苦痛でしかない。


体力的にも精神的にもかなりの疲労だ。


こんな時、やっぱり華乃にそばにいてほしいと思う。俺を癒せるのは、あいつしかいないから。