客を掴むのに結構必死なんだなアキちゃん。いや、俺がいい男だからだ。そうだ、そうに決まってる。


「意地悪しないで連絡先交換したらいいじゃないですか」

「…いやいや、五十嵐さん」


てめ、首突っ込んでくんなっつーの。


「俺もマナちゃんと交換したし、またこのメンツで飲みましょうよ」

「そうだよ龍成さん!またみんなで飲もうよ!」


くそ、面倒くせぇな。五十嵐の笑顔、完璧わざとだろ。

俺と華乃の仲を壊すのが目的かと思えるくらいだ。


「あー、じゃあアキちゃんの番号教えてくれる?俺から電話するから」

「え~?本当に電話してくれる?」

「お利口さんにしてたらな」

「なにそれ!」

「いいから早く言えよ」


どうでもいいから帰りてぇんだよ。華乃がいなくても、俺の帰るべき場所の、あの部屋に。