「…龍成さん?」

「いや、なんでもない」


──わかってる、情けないくらいに。

どれほど馬鹿なことをしているか。どれほどくだらないことをしているか。


いくら仕事とはいえこんな無駄な時間はねぇよ。もう二度としねぇって親父にしっかり釘さしとかないと。


「お久しぶりですね」


ふと視界に入る真奈美ちゃんの顔。俺の顔を覗き込んでいた。


「ん?あれ、五十嵐さんは?」

「お手洗いに行きました」


トイレに行った五十嵐を、お絞りを手にして待つ真奈美ちゃん。


さすが空気読んでるな。


「あれ、二人は知り合いなの?」

「ちょっとね」

「大した知り合いじゃねぇけどな。てか店移ったんだな」

「色々ありまして。あ、ユユさんからお客様流していただきました。ありがとうございました。お陰で絶好調です」