「五十嵐さんたらお上手~!」

「可愛いだなんてお世辞上手いんだから!」

「本当に二人とも可愛いよ。ね、神田さん」

「え?ええ、はい」

「またいい店教えてくださいね」


また?!またこいつを接待しなきゃならねぇのかよ!


「はい、ぜひ」

「えー!他のお店に行かないでまたここに来てくださいよー!」

「五十嵐さんも龍成さんもめっちゃイケメンだからまた会いたい~」


アキちゃんはそう言いながら、五十嵐と真奈美ちゃんに見えないように俺の腕を取る。

以前はこんなことをされても何も思わなかったのに、今の俺には不快だった。


「……」


アキちゃんの手を笑顔で押し返す。


「……ごめん、嫌だった?」


洗練された上目遣い、傷ついたような顔。こりゃかなり経験積んでるな、アキちゃん。


「嫌じゃないけど困る。俺……」


既婚者って言ったらまずいのか。指輪外したくらいだしな。