急に親父に二人きりで話があると呼び出され、向かった場所は親父の行きつけの料亭。

先輩の親が亭主の店だ。


──あ、そういやまだ華乃に姉ちゃん紹介しろって言ってなかったな。


や、今はそれどころじゃねぇ。


親父の奴、何かと思えばヘッドハンティングだ?


「今売り上げを急激に伸ばしている社の若手の営業だ。会社の利益はその男一人の力と言っても過言ではないほどの実力だ」

「へー。すごいですねー。それで何で俺がヘッドハンティングなんてしなきゃならねぇんだよ。専属がいるだろ」


しかも麻友ちゃんがいたって別によくねぇか?この話。


「俺の話を聞いていたのか?『若手』と言っただろう」

「若手がなんだってんだよ」


すると親父は手に持っていた日本酒を軽く口にして一息ついた。


「お前に似ている」

「……はあ。」