「起きろ!出陣じゃ!」

「──いってぇな。どけよ。重い」


目を開けず、めちゃめちゃ不機嫌そうな顔。

寝起き悪いなぁ。

あ、起こし方が悪かったのか。


でも龍成のこの声、いいな。普段より低くて気だるげで、結構わたし好きなんだよね。


──てか、これまだちゃんと起きてないよね。


……全く。


「何を生ぬるいことを!敵はそこまで来ておるのだぞ!」

「どんなテンションだよ。付き合ってらんねぇよ」

「いいのか?!貴様、約束も守れぬようでは武士として失格だぞ!」

「もういいから、どけ」


むっ、まだ目を開けぬとは。なんと往生際の悪いやつだ。


「どくものか!貴様、男子として認めん!」


刀を持ったふりをして手を振りかざした。

ら、無防備になった腰を思いっきり引き寄せられ、龍成に倒れ込む形になってしまった。