顔を合わせて、真剣な眼差しで、男らしさ全開の声音で、龍成は更にわたしを幸せへといざなう。


「うん」

「いつだって考えるのはお前のことで、すぐに思い起こすことができるのもお前との記憶だけで、あとは俺にとって必要ない」


もういいよ。もう、充分だから。


「大丈夫、信じてるから」

「華乃…」

「わたしね、初めて気持ちいいと思えた」

「え」

「今まで抱かれても気持ちいいなんて思ったことないの。ただ合わせるだけで、初めての時なんて泣いちゃったくらい」


初めての時は、なぜか涙が溢れた。

止められずひたすら泣くわたしに、嵩憲は「下手でごめん」と言った。


そんなんじゃなかったのに。


「……それは痛かったからとかじゃ」

「違う。愛されてなかったからだよ。でもあの時は自分でもどうして泣いたかわからなかった。きっと、虚しくて切なくて悲しかったんだ。それにやっと気づいた。愛があって抱き合うのって、すごく気持ちよくて、すごくすごく幸せな気持ちになれるんだね」