見上げようとしたのに、またぎゅっと抱きしめられる。


ただでさえ苦しいのに、胸がいっぱいになり更に苦しくなる。


わたし達の周りを漂う空気はどこまでも甘く、その甘い空気と龍成の匂いにわたしはひたすら酔いしれる。


「すーげぇ心地いい」

「え?」

「お前の肌と俺の肌、相性よすぎじゃね?」

「……」


さきほど同じようなことを考えておりました……。


なんだか恥ずかしいわ。


「華乃?」

「…苦しい」
 
「あ、わりぃ」


龍成が力を弱めた為、わたしは顔を上げる。 


「…感想は?」

「感想?」

「待ち焦がれてたんでしょ?」

「……足りない」