──自分を見失いそうになるんだよ。


お前を愛しすぎて、制御なんてできなくて、馬鹿だと烙印を押されても文句一つ言えないほどに、ただ、お前をずっと求め続ける。


お前が見逃したものを俺は補うことができるけど、俺は自分のことになると途端に弱くなるんだ。


どんなに強がっても、上辺だけかっこつけても、俺の自信はお前の存在があってこそのものであって、お前がいなけりゃいとも簡単に消え去ってしまう。


大切なものができると、人はここまで弱くなるものかと思い知らされる。


失うものがない人間こそ、なにより強く自由なんだ。それに比べ、守るべき存在ができた俺は、脆く弱い。


華乃の為だけに、強くいられたら。そう望まずにはいられない。


本当の、本物の自分が、わからなくなりそうになる。


──愛してる、愛してる、愛してる。


何度口にしたって足りない。伝わらない。


伝えきれないんだ。