「俺よりお前はどうなんだよ。あれだけ騒いでたのに普通って」

「だって普通だったんだもの。実感がわかないからかな?あっ、色々と名義変更しないとね」

「そのうちな」

「なによそのうちって。『神田華乃さ~ん』って呼ばれたらきっと実感がわくよ」


──ったく、こいつは…。


「神田華乃さ~ん」

「あんたにじゃねぇよ!」

「区役所だけの約束だろ」

「ついでに警察署と銀行と、あとは」

「寝言は寝てから言え」

「生命保険もか。健康保険も?それに」

「はいはい華乃ちゃん、着きましたよ」


聞く耳を持たずマンションの駐車場に入ると、華乃はいきなり不機嫌になった。


「……」

「睨むなっつーの。明日連れてってやるから」