「本物の夫婦に、龍成の奥さんになれたっていう証が欲しい」

「……」

「ここまできて、なかったことにされたら辛いし」

「ありえねぇだろ」


──胸が締め付けられる感覚に陥る。


そんなことを不安に思っていたとは。

どこまで可愛いんだよこいつは。


「……今ね、これでもわたし、幸せぼけしないように感情を抑えることに結構必死なんだよ。あまりにも幸せだと色んなことを見逃しちゃうから。だから抑えきれなくなる前に、やるべきことはちゃんとやっておきたいの」


物静かに、でも感情を込めて話す華乃を見ていると、それが本心だとわかる。


抑えることに必死なくらい、華乃は今幸せなのか。


そう思うと胸が熱くなり、たまらなく嬉しさがこみ上げる。


「…抑えなくていいっていうか、抑えるもんじゃねぇだろ」