無理をするしかない状態だったとは言え、まさか発熱するなんて。

しかもそれでも新婚旅行に行こうとしていた。あまりの馬鹿さに可愛くて笑ってしまう。


──華乃の寝顔を見ていると、どうしても触れたくなってしまう。


でも今必要以上に触れて、そのせいで起こしてしまったらいけない。


そう言い聞かせて、俺は寝室を後にした。



─────



「龍成?」

「……ん」


名前を呼ばれ、体を軽く揺すられる。


重い瞼を開くと、俺を覗き込む華乃がいた。


「こんな所で寝たら風邪引いちゃうよ。ベッドで寝なよ」


──あれ?俺、寝てたのか?


確かあのあと、軽く調理して自分だけ先に食ってソファーで休んで……


……寝たんだわ。

なんだかんだ言って俺も疲れてたからな。