「あ、華乃ちゃん、有希ちゃんも呼んで上がっていいよ」 

「て、店長……」


マジですか……。


「龍成さん迎えにきてるんでしょ?お客さんいないし閉店時間近いから大丈夫だよ」

「そんなお気遣い…」

「あ~、華乃ちゃんの結婚式楽しみだなー!今度有希ちゃんと結婚式に着ていくワンピース見にいく約束したの!」


輝くような笑顔を見せる店長。


少し、胸が痛んだ。


「そ、そうなんですね。わたしも楽しみだなっ」


顔がひきつり気味だわ、わたし。


「準備、色々と大変だと思うけど頑張ってね!お疲れ!」


すれ違いざまに腕をぽんと叩かれ、店長がフロアに出ていく。


わたしは複雑な心境の中で軽くため息をつきつつも、帰り支度を始めるしかなかった。