「これは期待に応えないとな」


龍成の隣で先輩がニヤッと笑った。


『おいこら、見せもんじゃねぇんだぞ。悪趣味だなお前ら』


そ、そうだそうだ!結婚式の誓いのキスですら恥ずかしかったのに、ここでできないって!


「「「りゅーせい!りゅーせい!」」」


ぎょ、いつの間にか龍成コールになってるし!


……もうこれは、逃げられない雰囲気…。

チラリと横目で龍成を見ると、堪忍したように頭を掻いた。


ま、まさか本当にするの…?!


『これが原因で離婚されたらお前ら一生不幸にしてやるからな』


と言った瞬間、龍成はわたしの頭を片手で掴み、素早くキスをした。
 

一瞬の出来事で心の準備なんてしていなかったわたしは、目を閉じることもできなかった。