わたしが不安そうにしていると、龍成はなぜか余裕の笑みを見せる。


ちょっ、ちょっと、なにそれ。まさか本当に…?!


本気で焦りそうになって声を出しかけた。


すると龍成は顔を近づけ、唇が触れる瞬間に


「愛してる」


と小さく呟いてキスをした。


「──」


──それはきっと、わたしと牧師さんにしか聞こえていなかったと思う。


その後のわたしの涙も、見えていたのはきっと龍成と牧師さんだけ。


これほどまでに幸せなキスは、生まれて初めてだった。


わたしはこの時、絶対に幸せになれると思ったんだ。


この時の為に、生まれてきたと思えたんだ。