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「新婦様、お時間です。参りましょう」

「あ、はい!」


準備を終え待っていると、スタッフさんが迎えに来てくれた。


龍成、結局あれから来なかったな。どうしたんだろう。


「あの…新郎の準備は」

「整っております。ただ、ご挨拶や祝電の確認などで大変お忙しくしておられました」

「あ、そうだったんですね」


全部やってもらっちゃったな。そりゃ時間もなくなるわ。大変だっただろうな。


スタッフさんに連れられ、大聖堂へ移動する。

裏側から扉の手前まで行くと、お父さんとお母さんが待っていた。


「華乃…」

「お父さん、お母さん」


わたしに気づき振り返った二人は、微笑んだあと、少しだけ涙目になった。