突然、お父さんが龍成に向かって頭を下げた。

それに続いてお母さんもお姉ちゃんも、來乃までも頭を下げる。


驚いたわたしは、おどおどしながら龍成を見た。


龍成も少し驚いた顔をしたけれど、僅かに口角を上げて、自信たっぷりの顔をして頭を下げた。


「必ず、人生を賭けて幸せにします」


──だめだ、どうしても涙が出ちゃうよ。

こんなんで泣いてたら、結婚式なんて花嫁なのにボロボロになっちゃうよ。

わたし、今日ちゃんとできるかな。


「華乃ったら」

「それでメイクできるの?」

「やだ、あたしも」

「莉乃まで泣いてどうするんだ」

「これじゃ華乃の花嫁姿見たらみんな大変ね」

「もうっ!華乃姉のせいで莉乃姉まで泣いちゃったじゃん!早く行ってよ!」