…タクシーの運転手とだらだら話している間も頭の中はさっきのことでいっぱいで、多分適当な返答しかしていない。

おっちゃんには悪いけど、意識はどうしても華乃に向かってしまう。


家に着きタクシーを降りる。

自分の部屋に行きベッドに横になった。


眠くはない。華乃の仕事先に行くまで、海外出張の時差ボケを直す為にかなり寝たから。

うつ伏せのままテレビをつけるが特に見るわけではなく、ただ雑音を聞いていたかった。


──あいつ、一体何考えてんだよ。

帰り際に「好き」だなんて言われたら、帰るどころかそのまま押し倒すとこだわ。

お前の「好き」の破壊力は尋常じゃないんだぞ。わかってねぇんだろうな。


それもはにかみながらだし。あれは俺には「襲って」と言っているのと同じだ。


──俺、本気でやばい。本気でまずい。

理性は崩壊寸前だ。