ふざけんなよ、マジで。


どんだけ可愛いんだよあの女。あそこであの台詞はねぇだろ。抑えんの一苦労だっつーの。

馬鹿かあいつは。


……ちげぇよ、俺だ本当の馬鹿は。


この寒い中顔が火照ってやがる。

絶対これは見せられない顔だ。男が赤面するなんてありえねぇ。

きっと傍から見たら情けない顔をしているだろう。


大通りに出て軽く深呼吸をし、タクシーを掴まえる。


「花京院一丁目の神田まで」

「神田さんですね。了解しました。花京院一丁目の神田さんっていうと、神田グループの社長さんのお宅じゃないですか」

「そう。さすがっすね。歴長いんすか」

「いやいや、有名でいらっしゃいますからね。もしやご子息ですか」

「まぁそうなりますね」

「そうですか!それはすごい!神田グループと言えば…」