私限定の甘さ 番外編


そのまま俊の服をちょいちょいと引っ張ると俊は「ん?」と不思議そうな顔をする。


背伸びしてゆっくりと俊の唇にキスをする。


唇が触れたのは一瞬で、すぐに離れる。



俊が赤い顔で口をパクパクとしているのを見て思わず吹き出す。



「あはは、焦りすぎ!!」


「だって、愛ちゃんからキスなんて…初めてだから」


確かに。


今までは俊からだったしね。



「キスしたかったんだもん…ダメ?」



「ダメじゃない!!」


その言葉と同時に今度は俊のから唇を奪われる。



「ふぅ…しゅ、ん」


キスの合間に俊の名前を呼ぶけど、もっと激しくなるキス。


何度も何度も角度を変え、深くなっていく。


やっぱり、俊のほうが上手だなぁ。


俊のキス大好きなんだ。


愛してるって言われているみたいで。




ゆっくりと離れていく唇に少し名残惜しさを感じる。


「俊…」


「ん?」


首を傾げる俊に心臓がドキッとする。



「好きっ…キス…足りない…」


なんでかな?


なんだか今日はいつもよりも大胆になれた。



「…っ…あ…」



「え!?ちょっ!?俊!?」



なんと俊の鼻からはまさかの鼻血が。


は、鼻血!?


ティッシュどこだ!?


ポケットの中にあるティッシュを取り、渡す。


「あ、ありがと」


顔を真っ赤にしながらお礼を言う俊。



まさかだけど…俊って思ってた以上にピュア?


だって鼻血出すなんて…。


あんなキスするくせに、私が軽くキスしただけで顔を真っ赤にするしね。


でも…そんな俊だから好きなんだなぁ。






今年のバレンタインは、いつもより甘く、少しハプニングがあった特別な日になりました。


ある日の放課後。


私はいつも通り、俊と一緒に帰っていた。


「今日ね〜、怜と話してたらね〜光くんが珍しく嫉妬してたの!!『西野は怜を独占しすぎ』って!!」



「へ〜、あの光が?」



「そうなの!その言葉に怜はほんのり顔を赤くするしさ〜、本当にラブラブだよね!」



いつもと同じように手を繋ぎ、くだらない会話で盛り上がる。



あの時の怜、可愛かったな〜。


恋する乙女って感じの顔で。


私も俊といる時、あんなふうな顔をしてるのかな?


チラッと俊を見ると、目が合った。



「どうかした?」



「ねぇ、俊」


「ん?」


そう言って優しく笑う俊に胸がときめく。


これくらいでときめくなんて。


いつになったら慣れるんだろう。


そんなことを思いながらも口を開いた。


「私って俊の目には可愛く映ってるの?」



「…え?急にどしたの?」


目を見開きながらそう問う俊。


怜のあの時の顔みたいに可愛く映ってるのか。


あんなに幸せオーラが出てるのか。


気になる。



「私も怜みたいに恋する乙女って感じになってるのかな〜と思って。」



俊は少し考え込んでから口を開いた。


「恋する乙女…かは分からないけど。
愛ちゃんは可愛いよ。すごく」


うっすらと赤くなった顔を手で隠しながらそう言う俊。


また胸がドキッとする。


「あ、ありがとう…」



「どーいたしまして」


ふにゃりと笑う俊につられて私も笑う。



なんだか幸せだなぁ。

隣には俊がいる。

俊がいるだけで私の世界が明るく見えるんだ。




「あ、のさ…明日、ひま?」


そう聞かれ少し考える。


明日…って、土曜日…だよね。


お母さんと出かける用事もないし…。


他にすることもない。


「うん。ひまだよ?」


笑顔を向けると、俊は安心したかのような緊張したかのような顔をした。


なんだろ…何かあるのかな?


「もしよかったら…明日、俺の家来ない?」


…なぁーんだ、そんなことか。


緊張しきった顔で何言うのかと思ったよ。



「いいよ!!」


「そうだよね…無理だよね…って、いいの!?」


「え、うん。別にいいけど…」


少し大げさな反応をする俊を不思議に思う。


だって、怜と光くんも来るんでしょ?


今までもずっとそうだし。



「本当にいいの!?
俺の家だよ!?」



「しつこいなぁ、いいってば!」



さっきから変な俊。


何をそんなに慌ててるんだろう。



「じゃ、じゃあ、明日の1時に俺の家、来てくれる?」



「はーい!」



「愛ちゃん、もし行きたくなくなったら遠慮なく言ってね!?」



「もう!大丈夫だってば!
今日の俊なんか変だよ!」



「いや…だって…そんなあっさりとOKしてもらえると思ってなかったから…」


…?


よくわかんないけど私ならそんなもんだと思うけど…。


「楽しみっ!
俊の家に行くの夏休みぶりだからね!」


今度は何をして遊ぶんだろう?


この前はDVD見たりしたしね。


そんなことを考えていたらあっという間に私の家に着いた。


「じゃあ、土曜日楽しみにしてるね!」


俊にそう言い、手を振って家の中に入った。



だから私は知らなかった。


「まじかよ…我慢できるかな…」


俊が少し顔を赤くしてそんなことを呟いていたなんて。