ようやく離れた俊の唇。
私はぼーっとしたまま俊を見つめた。
「ごちそうさま
やっぱりイチゴは甘いね」
その言葉に、もっと顔が赤くなる。
「もうっ、やめてよ!
こんなところでキスなんて!」
周りの人、見てたもん…。
恥ずかしすぎる…。
「ごめん、我慢出来なくて…」
顔を赤くしながら謝る俊。
自分からあんなキスしてきたくせに、赤くなるんだ。
そう思うと少しおかしくて笑ってしまった。
「何笑ってるの、愛ちゃん」
少しムッとした顔をする俊。
その顔も可愛く感じてしまう。
「ごめん、なんか俊、可愛いなと思って」
「可愛いとか言われても嬉しくないんだけど」
ぷいっと顔を背ける俊。
ふふっ、怒っちゃったかな?
でもね、俊。
いつもの俊はすごくかっこいいよ?
たまに可愛いところもあって。
私の王子様みたいな人。
なんて思ったけど、恥ずかしいから言わない。
よしっ!!
俊がチョコ好きなことも知れたし!
あとは本番まで練習しようっ!!
クレープを食べながら、そんなことを考えていた私だった。
「えーと…あと必要なものは…
あ、生クリームだ!」
バタバタと家の中を歩き回り、チョコレート作りの準備をする。
今日は怜と一緒にチョコレート作りをする約束がある。
だから、急がなくちゃ。
ちらっと時計を見ると、怜が来る10分前。
「もう全部揃った…よね?
あとは怜が来るまで待つだけ!!」
ワクワクとしながらそうつぶやくとお母さんがクスクスと笑いながら言った。
「あら、俊くんに作るの?
愛、料理上手だけど、難しいチョコ作ろうとして失敗しないようにね?」
「だ、大丈夫だもん!
簡単なチョコだし!!」
「どうだか〜」
「大丈夫だってば!!」
お母さんにからかわれている時、
…ピンポーン
チャイムが聞こえ、急いで玄関に向かう。
ガチャ。
ドアを開けると怜がいた。
「いらっしゃい!!」
「怜ちゃん、いらっしゃい」
「おじゃまします」
怜は、お母さんに挨拶をすると、早速キッチンへ向かう。
エプロンを着て、手を洗い準備は完璧。
「よ〜し、じゃあ作ろっか!!」
「うん。
まぁ、チョコって言っても型に流して固めるだけのチョコだけどね」
怜は料理が苦手だ。
「怜、料理苦手だもんね」
クスクスと笑いながら言うと、怜は軽く私を睨む。
「愛は、料理上手いんだからさ、私と同じもの作らなくていいのに」
「いーのいーの!
それに、難しいチョコを作るより、簡単だけど愛情たっぷりのチョコを作った方が喜んでくれる気がするの」
きっとそう。
俊は、私があげるものならなんでも喜んでくれる。
そんな俊が大好きなの。
「ふーん」
怜はニヤニヤとしながら私を見つめる。
な、なによ。
その顔は!
「な、なんか変な事言った?私」
「別に?
ただ相変わらず高木のことだいすきだなぁ〜って思っただけ」
怜にからかわれ、ぼっと顔が赤くなる。
だ、だいすきって!
まぁ…間違ってはいないけど…。
「もう!!
いいから作ろっ!!」
必死に話題を変えようとする私を、怜はクスクスと笑う。
「はいはい」
そう言ってようやくチョコレート作りはスタートした。
「や、やっと完成だ……!!」
思わずポツリと呟いてしまう私。
それほど完成するまで大変だった。
ただチョコレートを溶かして型に流して冷蔵庫で固める。
これだけのことなのに怜は予想以上に料理が下手だった。
まず、板チョコを細かくきざむ。
ここまではいいのに何故かチョコレートに熱湯をかけだす怜。
私が「何してるの!?」と慌てて止めれば、
怜は不思議そうな顔をして「湯せんしないといけないんでしょ?」と。
もちろん、チョコレートに熱湯なんてかけていいわけがなく、やり直し。