宴は闇深くなってもなお、続く。

ベルフォンヌ様の話のあと、参加者たちは口々にあの噂の件を信じてしまったことを詫び、そして私たちに向けて祝いの言葉を掛けてくれた。

ひとりひとり丁寧に対応し、列が途切れたところで、私は大広間から繋がる中庭のベランダに出て、少し休憩をする。

中の生温い空気とは違い、外は夜特有の澄んだ空気。

身体中に取り込むように、思いっきり深呼吸をした。



「途中ではぐれるな、アリシア。心配するだろう」


遅れてランスがベランダへとやって来る。

いつもの軍服姿ではない、紺色の生地に銀糸で刺繍のされたジュストコールを纏って立つ、ランス。

ほんの少し離れただけ。

それまではずっと一緒にいたのに、また改めてそのランスの姿を見ると心がときめくから不思議なものだ。