「はーい、みんな席に座って」
声を出しながら教室に入ってきたのは担任の佐藤ゆかり先生だ。
ゆかり先生は、40代で優しく、教え方が上手いからみんなに人気がある。
「今日からこのクラスに新しく転校して来た子がいます。」
へー、転校生か…
転校生に全く興味がなかった私は、あまり気にさず本を読んでいた。
でも他の人は気になるらしく、先生の話を聞いて教室が少し騒がしくなった。
「では、橘くん入って来てください。」
そして転校生が教室に入ってきたとたん
「「「キャー」」」
と女子の黄色い悲鳴が上がった。
いきなりの悲鳴にびっくりして顔を上げた。
顔を見た途端一瞬目を奪われた。
太陽に反射してキラキラと輝いてる茶色の髪、ぱっちりとした二重の目、すっと通った鼻筋。
周りの女子はかっこいいねと、近くの人と話していた。
「では、紹介します。転校生の橘 光輝さんです。」
「今日からこの学校に通うことになった橘光輝です。よろしくお願いします。」
橘くんが挨拶を始めるとみんな、しっかり話を聞こうと静かになった。
「それでは、橘くんに質問がある人?」
それから転校生への質問タイムが始まった。