「あ〜……。腹減った〜……」


黄昏時の街角。
そんな小さな声が路地裏から聞こえた。

薄暗い路地裏から、1ぴきの黒猫がひょっこり顔を出す。
野良猫らしく、その毛並みは少しぼさぼさで薄汚れている。

その表情はどこかすねているようだった。


「……ここんところ メシにありつけてねーんだよなぁ……」

そこに人がいたら、叫ぶか追いかけ回しただろう。

その言葉を発したのは、他でもないその黒猫だった。