昼間の通り。
石畳の道を歩いて行く黒猫が1ぴき。

「……はあ……」

今さらながら、オレはウソをついたことを後悔していた。

……挨拶なんて、オレはほかの猫にしたことがない。
それっぽいことを言ってごまかしたかもしれない。

……けど、あの子はオレと違って、相手とは人間同士だ。
大丈夫だって、思いたい。

気づけば、赤茶色のレンガ屋根の家に来ていた。

様子を見るのと、あの子に謝りたかったから。