「……ねこさん、魔法教えて」

「……あ」

……そうだった……。

ちくちくと胸のあたりをつつかれる気がしてきた。
少女はぱちぱちと瞬きをしながら、オレの目を見つめてくる。

目をそらしながら、オレは聞いた。

「……ど、どんな魔法を使いたいんだ?」

うあ、まずい質問だったかもしれない……。
オレはただの黒猫ってだけで、魔法なんか使えない。
姿を消すとか無理だし、空を飛ぶなんてできるならオレの方が使いたい。