「さつきさん」


「月さん。ありがとうございます。やよいちゃん、まともになりました」


「お気に召したかしら? 」


「はい、とても嬉しいです」


「では、明日に生け贄の十六夜やよいを連れていくわね」


笑っていた彼女の顔は、一瞬でこの世の終わりを見た様な顔になっていた。


「どういうことですか? 私のお姉ちゃんは湖城卯月ですよ‼何でやよいちゃんなんですか? 」


「あら、覚えていないの? あなたの姉は十六夜やよいよ」


まぁ、私はサニーに聞くまで知らなかったのだけどね。


「覚えていないってどういうことですか? 」


「あなたの5歳の頃の出来事ですけれど、ショックで覚えてないのかしら? 」


十六夜やよいの気配を近くで感じた。隠れてこの話を盗み聞きしているようね。


「そこにいる十六夜やよいは覚えているようだけど、あなたから話せば? 」


恐る恐る出てきた十六夜やよいは、顔を青くさせて話始めた。