「何? 願いでも言うのかしら? 」


そんなことどうでもいいから、生け贄をよこせ。……生け贄をいただきたいわ。


「まぁ、それに近いんですよ。あの……やよいちゃんは……わかりますよね」


「十六夜やよいはあなたに向けて病んでるってことかしら? 」


てか誰だってわかることだわ。


「まぁ、大体あってます。でもやよいちゃんの場合は、もっとヤバイんです。いつ飛び降りるかもわからないくらいなので」


さつきさんは青白い顔をして、語り始めた。


「やよいちゃん、一回首を……吊った事があるんです。発見が早くて、命に別状は無かったのですけど。その日は私とやよいちゃんで喧嘩をしたんです。だから、やよいちゃんは、私と仲が悪くなったら、いつ消えてなくなろうとするか分からなくなるんですよ。だから、やよいちゃんの病んでるのを直してください」


予想通りね。


「生け贄は誰にするのかしら? 」


「………………………」


彼女は、うつむいて口を少し開いた。


「あの…………お姉ちゃんを、連れてって」


「わかったわ。明日願いを叶え、最終確認をとるわ。明後日、生け贄を連れていくわ」


「はい」


「今日は帰るわ。面白いことは無さそうだしね」