『…………。そうね、それが良いわ。あなたにとってもサニーにとっても私にとっても。あれから四年も経つだけあるわ。あんなにお子さまでぬいぐるみを抱き締めてないと不安で不安で夜も眠れなかった月がしっかりとしたこの館の主になった姿を見て私も感激だわ』


全く。いつまで姉面する気よ。聞いているだけでムカついてくるわ。


私には記憶がないの、生きてるときの記憶は姉さんの事と自分の名前事とあの最低な母親の事しか覚えてないの。死ぬ前の私の性格はどんなだったのかしら?もっともっと柔らかい性格だったのかしら?想像もつかないわ。記憶を消されてしまったように何にも。


「ニャー」


サニーが猫の姿になったわ。まだあの生け贄も来てないのに感じ取ったのね、彷徨う途方にくれてしまった人の心を。明日まで待っててくれるのかしら? その魂は。


「私も待ちくたびれちゃった。森に入って来た時点で迎えにいきましょう。サニー、影」


いいのよ。記憶はなくても私には仕事があるわ。この仕事で愚かな人たちを正気に戻さなくちゃね。戻らない者は贄として私達悪魔の使者に捧げればいいの。私がこの世で嫌いなものは愚かと影よ。