「撮るよー」
“カシャッ”
「先輩、ありがとうございます」
「こんなんお安いお礼だね」
祐実は初めてのお兄ちゃんとの2ショットに喜びを隠せない様子だ。
「あ、もうこんな時間だ!そろそろ帰らないと」
携帯の時計を見て慌てて玄関に向かう祐実。
「危ないから車で送るよ」
お兄ちゃんはポケットからキーを取り出すと、祐実の後を追いかけるように外に出た。
「何だ、彼女送ってきたのか?」
祐実を見送ろうと外に出ると、家の前をちょうど悠が通りかかった。
「祥兄」
「今からこの子送り届けてくんね」
お兄ちゃんは車に乗り込むと、祐実の家に向かって走り出した。
「んなこと誰も聞いてないっつーの」
悠が門を開けて家の中に入ろうとした時。
「待って」
そんな悠を無意識で呼び止めてしまった。