「梨花さんは悠の彼女だよ」
“彼女”と自分で言っておきながら、胸がチクッと痛くなる。
「彼女って何だそれ」
お兄ちゃんは驚いた様子で水を戻す。
「そんなに驚くこと?」
別に悠に彼女が居ても全然可笑しくないのに……。
「……そりゃあな?」
何でだろう、と首をかしげるとお兄ちゃんは
「まあ、いいか。彼女居て当然だよな。アイツ、モテるし」
と納得する。
「あ、ボタン解れてる」
ふとお兄ちゃんの服を見ると、袖のボタンが取れかかっていた。
確か今朝はちゃんと付いてたよね?
「ああ、これか……女に腕掴まれた時に取れたんだ」
「女?!」
祐実が叫ぶ。