「普通さ、別れたらこういうのって捨てない?思い出の詰まった物を持ってると、返って辛いのよ」

「そうかもしれないけど捨てられないの。だって私の中ではまだ終わってないんだもんっ」


悠への気持ちは付き合っている頃のまま、何も変わってない――…


「こうやって見るとアンタの部屋自身が、もう未練の塊だわ」


そう言ってアルバムをテーブルの上に置く。


祐実が開いたページには、悠と過ごしたクリスマスの時の写真が数枚貼られていた。


お兄ちゃんが帰って来るまでの間、二人でゲームしたり話をしたりして時間を潰した。


そして22時頃。

「ただいま」

と玄関先からお兄ちゃんの声が聞こえてきた。


「あっ帰ってきた!」


声を聞いた祐実は、嬉しそうに部屋を飛び出して階段を下りて行った。


その姿はまるで飼い犬が飼い主を出迎える姿にそっくりだった。


「おかえりなさい!」


いつも私が言うセリフを、今日は祐実が言う。