「お前、俺をおちょくってんの?」
「違っ……」
「そうやって人をからかうのが、そんなに楽しいのかよ」
悠の腕がギュッと私の手首を掴む。
「フザけんなよ」
悠は冷たい瞳でそう怒鳴り散らして私から離れると、自分の部屋に戻って行った。
そして“ピシャッ”と乱暴に部屋の窓が閉められ、悠はそのままカーテンを閉めてしまった。
静まり返った部屋。
「……私……何やってんだろ……」
悠に掴まれた場所が凄く痛い、心臓が痛いよ……
いつも冷たい態度を取らていても、あんな風に冷たい瞳を向けられたことはなかった。
……きっと今度こそ、嫌われたんだ。
そう思ったら、泣き枯らしたはずの涙がまた次から次へと溢れ出てきた。