「俺、いつまでもウジウジすんのとか嫌い。明里とは過去にそういうことがあったとしても、今はもうただの幼馴染み。それ以上でもそれ以下でもねーから」


悠はそれだけ言うと家の中に戻っていった。


「……っ、」


私にとってはまだ過去に出来ていないことなのに、既に悠にとっては“過去”の思い出。


彼女が出来た時点で分かっていたはずなのに、改めて本人の口から聞かされると結構辛い。


「明里、大丈夫……か?」

「大丈夫、分かってたことだもん」


今にも溢れそうな涙を必死に堪え、震えた声で答えた。


「ごめんな?俺が変なこと聞いたせいで明里を泣かしちゃって……」

「何で秀真が謝るのよ。それに謝らなきゃいけないのは私の方だよ。悠と付き合っていたことをずっと黙っててゴメンね」

「ん。知った時、すげー淋しかった」

「ごめん……」


やっぱり私達は、隠し事なんてしちゃいけないね。