「秀真、声でかすぎ。近所迷惑ってもんを考えろ」
「もしかして全部聞いてた?」
「見ての通りシャワー浴びてたから、全く聞いてない。外から秀真の声が聞こえてきたから今出てきたんだよ」
そう言いながら悠は濡れた髪をタオルで拭う。
……良かった、全部聞かれてなくて。
「なあ、ハル!何で黙っとけなんて言ったんだよ」
「今頃そんな理由聞いて何の意味があんの?」
真剣な秀真に対し悠はフッと笑った。
「付き合ってるなら付き合ってるって、ちゃんと俺に話してほしかったんだよ!」
「別に俺らの自由だろ?幼なじみだからって全部話す必要ねーし」
「そうだけどっ、」
「つーか、そんな過去の話、どうでもよくね?」
納得いかない様子で顔を顰める秀真の言葉を遮り、淡々とした口調で悠はそう言った。
“過去”
その二文字が深く、私の心を突き刺した。