「映画、面白かったな」


飲みきったジュースの紙コップを、映画館出入り口に置かれたゴミ箱へと捨てる秀真。


「うん。途中でヒロインを巡って男二人が争いあっているのがすっごくドキドキした」


実際に自分がそんな経験をするのは嫌だけれど。


やっぱり大画面で映画を観れて良かった。



「明里、これからどうする?もう帰りたい?」

「まだ平気だけど……」

「じゃあ、ゲーセン寄って行こうぜ」

と映画館のすぐ横にある大きなゲームセンターへと入っていく。



「俺、クレーンゲーム超得意!」


秀真はキャラクター物のぬいぐるみが詰まったクレーンゲームの前に立つと、ポケットから取り出した財布から小銭を出して投入口に入れた。


「本当に取れるの?」

「こういうのは一度コツを掴んじゃえば、案外ポンポン取れるもんなんだぜ?」


楽しそうな秀真の隣りで黙ってそれを見つめる私。



「っしゃ、楽勝」


取出し口にぬいぐるみが落ちると、秀真はそれを私に差し出した。