「この映画、結構人気らしいよ」

「うん、知ってる。何回もCMで予告流れてるもんね」


恋愛映画なんて悠は絶対一緒に来てくれないもんな……。


前に別の恋愛映画が観たく悠を誘ったら、頑なに拒否られちゃったし……。



それからしばらくして、上映時間になるとブザー音と共に場内の灯りが消えた。


スクリーンに映し出される予告。

真剣な顔でそれを見る秀真の横顔に、フッと笑ってしまった。


「……今、笑ったか?」


聞こえてしまったらしく、秀真が首を傾けながら小声で言う。


「だって秀真ってば、本編始まってもいないのに真剣なんだもん」

「俺は予告もちゃんと見る派なんだよ」


そう言ってまた視線はスクリーンへと向けられた。


――秀真らしいや。